書評/ダース・ヴェイダーとルーク(4歳)
なんかどことなく、ぐりとぐらっぽいなぁと思って手に取って値段を見たら1400円ちょっとで、ネタ本として家に置いとく分には悪くないかもしれないとおもって購入。実はわたしはスターウォーズが大好きだし、家にあるシャンプーの容器はR2D2だ。
この本は基本的に1ページ完結でストーリーも何もないし、子供がいればわかるようなあるあるネタで出来ている。もし子供がいなければ、自分の幼少期を振り返るだろう話だ。もし題材がスターウォーズでなければ、本として商品になってないレベルであろうこの本は、題材がベイダー卿とルークだから成功しているし、深みを持っている。
スターウォーズ6作は親子の物語だ。ベイダー卿とルークの物語を私たちはいやという程知っていて、だから、ここで描かれるのが日常の何気ない一コマにすぎないとしても、その背後にある様々な情報を読者は勝手に読み取ってしまう。
つまり、泣けるのだ。
普通の親子関係を作中で築けなかったベイダー卿とルークが、普通に親子しているだけで、わたしの涙腺は緩む。何気ない彼らの一言で、わたしは泣く。腕を怪我したルークにダース・ベイダーがばんそうこを貼ってあげようとするシーンとか、作中を強く意識したメタファーとなっているネタが多くて、普通の親子関係だったら、というのをいやがおうにも意識させられてしまう。
これは作者の慧眼だ、と私は思う。ほとんど満点に近い、味わい深い鬼作。