二条城絶叫

john fruscianteと荒木飛呂彦と舞城王太郎と伊藤計劃が好きすぎて二条城にて絶叫。連絡先は2jojojotaroアットマークgmail.com まで。 Last.fmのアカウントはhttp://www.lastfm.jp/user/nijojo

消費税増税の影響はどうなることやら

 今日はこの話題で持ちきりでした。増税はしなければならない状況なので仕方ないです。けれどその使い道が・・・と言う話で、医療費に回ったりするのではなく結果として併せて行われる企業減税による財源減少分の確保に回るんだからやりきれないと言うか、納税者としては釈然としないのが一般的庶民の認識。

 

 企業減税の恩恵を最も受けるのは「年収700万を切ってしまう」なんて言っちゃうような人が多い大企業で働く人やそこの株主だったりするわけですよ。もちろん経団連が主張するようにグローバル化する経済で他の外国企業と戦っていくには法人税なんかの減税が最高に効率が良いし、これら大企業が日本経済を支えているのも事実なんだけど、その為の捨石というか、彼ら大企業を支える為に庶民が犠牲になるという構図が今回の消費税増税だからまぁ。。。うーん。

 そりゃ確かにトヨタとかトヨタとかトヨタとかが弱体化したら大変です。工場で働く派遣社員は職を失い、工場で働く人を求めて栄えてきた人口数十万人を超えるトヨタ共栄圏の都市に住む方々にはおおごとです。鉄鋼消費なんかも落ち込むし町工場の人間も職を失うし・・・というロジックは判る。それがソニーとか、まぁ多くの企業でも起こるんだかと日本中のある程度が偉い事になるのもわかる。

 けれどその為に年収200~400万の底辺層が最も重い負担を強いられるのはなんというか本末転倒というか、アンフェアなんだ。いっそ国民背番号制にして年収に応じて全ての納税額を累進課税にしてしまえばフェアなんだけど。

 今回の消費税増税が死活問題につながるのは日本にある後ろ盾を持たない小売店なんだよね。消費税が3→5%になった時、弱っていたけどそれまで何とかなっていた小さなお店はしばらくしてから殆ど潰れた。私の住んでいた、関東にある、そこそこ栄えている街の話だ。あそこよりも閑散としている町ではもっとひどかったんじゃないだろうか。

 最後に買い物に行ったとき、小学校の頃から使っていた文具店のおばちゃんが「やってけないから・・・」なんて言いながら浮かべた悲しそうな目を私は忘れない。駅からちょっと歩いたところにあった本屋も、ゲーム屋も、個人経営のお店はだいたいが潰れてしまった。消費税増税の影響で売り上げが落ちるのはこの手の切り詰められそうなお店。そういうところの経営者は年収だって多くないのだ。もともと限界のところでやってるから「たかが消費税が数パーセント上がるだけ」で家族と生きていくための最低ラインの収入を簡単に割ってしまう。割に合わないから再就職をするか、なかには家族そろって首を吊ってしまう人もいた。

 

 小学校の頃から使っていたその文具店は、割と仲の良い同級生の実家でもあった。あの頃何があったのかとかそれからどういう暮らしをして何をやっているのかは大人になってから知る機会があって、それは未だに私の心を締め付ける問題なのだ。成人式の時に再開し、それから何回も飲んだけれど、痛感するのは、彼女と私の生き方がここまでずれるものなんだなぁ、ということ。

 その文具店は駅前にあった。私の街にある唯一の文具専門店で、まぁ客は入っていたように思う。彼女は綺麗な服を着ていたし、流行ものが買ってもらえないような子供ではなかったし、お店も綺麗だったから改装に気を遣う事が出来るくらいのゆとりがあったわけで、まぁ貧しい方ではなかったわけだ。文具店は自宅兼店舗の綺麗な三階建てのビルにあったし、彼女の家は大きくて綺麗だった。遊びに行くとジュースとかおかしとかを彼女のお母さんが持ってきてくれたのを良く覚えてる。

 消費税増税の影響は、比較的利益率の良い高値の商品が売れなくなり、利益率の悪い安い商品に売れ筋がシフトする形で現れたらしい。売り上げも落ちたけれどそれ以上に純利益が減ってしまった。彼女曰く、「食事から牛肉が消え、いつも冷蔵庫にあったジュースやお茶は水に変わり、父親が禁煙して禁酒する位の変化」はあったけれど、「それほどヤバいと思ってなかった」らしい。親は貧しさを隠す。それから三年後の2000年に文具店を畳み、彼女は新潟に引っ越していった。後から聞いた話によれば確か両親のどっちかが新潟の人で、そのつてを頼って仕事を見つけたとかなんとか。あの頃700万あった年収は300万を切っていたらしい。

 成人式で再会したときわたしは大学生で、彼女は東京に出て来て水商してると言ったが実際は高校卒業してキャバクラ勤務→バーの店員やってる男と付き合って勧められるままにセクキャバなる職業に就いていたようだ。彼女は大学には行けなかった。高校時代は学校終わってからバイトで家にお金を入れないと弟妹がヤバいような状態。

 私の親はいわゆる一流企業で働いていて、生活の変化はずっと起こらなかったが彼女の暮らしはまぁ変わったんだ。

 私が高校に通い、親から弁当代を1000円とか渡されて昼を食べそれから塾に通いアルバイトが学業の妨げになるからと禁止されていたころ、彼女は高校へおにぎりをもって通い授業の後は夜までバイトして家にお金を入れていた。

 私の父親が一流企業で年収800万をキープし母親が専業主婦やって犬買ったり園芸に精を出していた頃、彼女の父親は700万から300を切るところまで落ちた年収をどうにかするためにまだローンの残る自宅兼店舗のビルを売り、親戚のつてを頼って新潟の土建屋で汗かきながら働いて年収300~350万とか、5人家族を養うには少し足りない世帯収入を補うために長女である私の友人は高校に入ってからバイト、その母親は昼パートで夜10時過ぎに帰ってくるような暮らしだよ。

 私の父親の年収800万とか社会人になってから「ちゃんとした仕事」についてない私を蔑むように父親に言われて知ったけどさ。700万でも600万でもよかったよ。その分彼女の家に行けば彼女の家族はもっとマシだったかもしれない。

 私と彼女が高校を卒業するころ、彼女の母親は死んだ。彼女が言うには過労だとかなんとか、パートを二つ掛け持ちしてたせいらしい。昼はスーパーで惣菜作って夜はスナックだと。そんなにハードに働かなくても・・・と思ったがローンの残りが結構彼女の家の家計を圧迫していたんだ。

 彼女は母親が死んで高校卒業してから速攻でホステスだよ。新潟よりは都内の方が儲かるからってんで東京に出てきて、家賃浮かすために男作ったけどその相手が良くなくてまぁ殴られたり罵られたりして脅かされるようにセクキャバで働いて知らないオッサンと酒飲んでキスしたり胸とか尻とか触られたり吸われたり。

 私が大学でおちゃらけてる間にそんな事されてるなんて言えないわな。そりゃキャバ嬢だよーって言うわな。

 次に会ったのが私が大学四年の時で、彼女はセクキャバから風俗まで堕ちてたわけだけど、まぁその辺の転落劇はダメな男と縁を切れない彼女に原因があるのかもしれない。でも泣きながら「私だって大学行きたかったし大学行ってればこんなことする人生送ってなかった」って言われた時には心臓鷲掴みにされたよね。「高卒じゃ普通の仕事ねぇし派遣登録も大卒で溢れてるし、でも女だから収入良い仕事はいくらでもあるんだよ、それは良かった」って言われてこっちも泣きそうになったわ。彼女の弟妹はみんな年が離れて一番下とか8つ下の妹なんだけど、それが大学入るまではなんとか仕送り続けないといけないから収入良くないといけないんだと。他の仕事が出来ない理由はそんな理由なんだよ。

 

 それからお互い家が近かったこともあって良く一緒に飲みに行ったりしたけど、なんか会わなくなって、次に会ったのが最近だ。代々木で乗り換え待ちしてたらばったり会って、連絡先交換して、近況報告兼ねて飲みに行って。

 彼女はまだ風俗嬢やってた。

 今風俗やってんのは看護師になる為に通う学費を稼ぐ為だって。仕事と男紹介してよなんて笑いながら言われたけど笑えなかったわ。親の社会的地位が違うだけで、同じ日本でもここまで違う人生になんのかって。

 これから先、私も彼女も結婚して子供作って幸せな家庭を築く未来を選択出来る訳だけど、彼女は風俗でほぼ毎日得体のしれないオッサンのチンコしゃぶって精液飲んで中出しされて、みたいな暮らしを送ってるわけで、それを旦那に明かすのか受け入れてもらえるのかみたいな苦悩を抱くんだろうけど私にはそれがないわけだ。彼女は肝炎とかHIVとか子宮頸癌のリスクにおびえまくることになるけれど、少なくとも私にはそれがないんだ。

 

 

 彼女みたいな若い子って日本にいる1学年の同世代間にどれくらいいるんだろう。彼女たちと私たちの決定的な差のほとんどが親の職業の差だ。国から保護され守られるいつまでも幸せで裕福な年収800~1200万以上の家庭の犠牲になるのが彼女たちなんだよ。

 守られてる意識がなかったり、犠牲の上に立ってる意識がない裕福層の人たちって日本にすごく多くて、そういう人たちが、貧困とかの理由で家庭が築けない人に対して「自己責任だ」とか「増えすぎた人口があるべき姿に収まろうとしてるだけだ」とか言ったり、医療費とか生活保護とかの負担に対して「貧乏人のケツ拭いてやってる」とか言ったりするんだから、一辺死ねと思っても許されるんじゃねぇかなぁ。当事者ならもっとひどい事をしたくなるだろうよ。

 

 

 知らずに社会的不公正に手を貸している裕福な人たちこそが、もっとも吐き気のする悪なんだよ。そんなやつらばっかりだ、私の知り合いは。年収なんて600もありゃ充分なんだよ。それ以上はほんと不必要だし、持ちすぎなんだ。

 

 

 まぁそんなことを考えて胸糞悪くなった一日だった。仕方ないよね、で許される問題ではないのだ。増税は。増税した分はしっかりと社会的公平さをもって配分しなければならないのに。何を考えてるんだよ国の連中は。どうかお前らの子供がみんな彼女と同じ苦界に堕ちますように。

 待ってんのは自殺だよ。彼女は自殺したよ。看護学校出て看護師になって一年目で病院に出入りしてる外資系のMRと付き合うようになって結婚話が出て風俗で働いてたことが彼の親の付けた興信所の調査でわかって揉めて破談になって色々悩んだ挙句頭おかしくなって自殺しちゃったよ。そんで更にクソったれなことにその外資系MRは慶応出てて親が一流建設企業の役員だよ。結婚相手の素性知るために息子に無断で興信所つけるよう胸糞悪さを持ってんのが日本の上流階級民だよ。

 この国はもう一回焼野原からやり直した方がいいんじゃねぇの?という気持ちは日増しに強くなる。私は結婚もしないし子供も作る気にはならんよ。この国では。出来れば納税だってしたくないしさっさとアメリカとかオーストラリアとかカナダとかに逃げたいんだ。だから仕事はがんばらないといけない。国を棄てたいんだ。その為には突出した手に職がいるんだ。