二条城絶叫

john fruscianteと荒木飛呂彦と舞城王太郎と伊藤計劃が好きすぎて二条城にて絶叫。連絡先は2jojojotaroアットマークgmail.com まで。 Last.fmのアカウントはhttp://www.lastfm.jp/user/nijojo

BIZ

 ハイカソルで出ている宮部みゆきの英訳が面白い。

 http://www.haikasoru.com/apparitions/

 

 appartitionはお化け、悪霊の意味。角川から出た短編集あやしの英訳なんだろうがあまりに直球。怪し、って感覚は海外には無いのかもしれない。そういうのって結構ある。

 また中身の英訳が面白い。

 From “The Futon Storeroom”

That night near midnight, when O-Mitsu came round for her as she had promised, O-Yū felt, oddly enough, just a little bit relieved. It was easier to go ahead and get it over with than sit with her mind playing through one scenario after another. As O-Mitsu had instructed, O-Yū meekly folded up her bedding, set her pillow on top, and carried it all with both hands as she followed behind O-Mitsu until they arrived at the room that was known as the futon storeroom.

 

O-Mitsu said not a word while they were walking down the corridor. Then, when they arrived and O-Mitsu placed her hand on the sliding door, she suddenly said something most unexpected, though she never turned to look at O-Yū.

 

“O-Sato’s forty-nine days have been fulfilled, correct?”

 

Indeed, yesterday had been the forty-ninth day. It was often said that the souls of the dead remained in this world until the forty-ninth day after their death and afterward went on to the next world. Because of that, O-Yū had been counting the days until her sister’s forty-ninth. She had been terribly worried that once that day had passed, her sister’s presence might dissipate.

 

“Yes,” she said. “It was yesterday.”

 

O-Mitsu nodded and slid open the paper door.

 

 

 原題は布団部屋。

 確か酒屋だったか居酒屋だったかで住み込み女中をしている女たちが主人公で、新人の女中が女中がしらのババァに「あんた、こんやあの布団部屋で寝るんだよ。なぁに、たいしたこたぁないよ。しきたりみたいなもんさね」といわれいざ寝ると出るんですよ、飛び切りの妖怪が・・・みたいな話だったように記憶しているが、まあ江戸なので、おみつとかおさととかおやねとか、おが付くわけですわ。名前の前に。MrとかMsくらいの感覚で。

 それがこれ、O-MitsuですよwwwwwwO-satoですよwwwww

 外人のクソ変なアクセントで、オ・ミツ!やばい、やばすぎるだろ。

 布団部屋って布団とか座布団が仕舞ってある部屋なんだけど、フトンストアルームとかなっちゃうとなんかすげぇハイソっぽくて笑う。いやもちろんストアルームで物置なんだけど、ストアルームって在庫とかおいてあるバックヤードっていうか在庫部屋で、普通にfuton closetとかの方がニュアンス出たんじゃないのかなぁと思うんだけどまぁ訳者のセンスか。というか非ネイティブなのでその辺よくわからないけど。

 そして”o-mitsh nodded and slid open the paper door.”「オ・ミツは頷くと紙の扉をスライドさせて開けた」なんという。なんというw fusumaでいいだろ、fusumaで。fusumaにして脚注つけた方がいいでしょ!どうせ輸入された日本書物読むアメ公なんて日本のオリエントさが好きな連中なんだし、そう窓口を広げなくてもFusumaで脚注つけた方が受けるよね?

 その癖、四十九日はforty-nine daysですしお寿司。まぁどっちも解説がどこかで入ってるのかもしれないですが。

 でもO-mitsuだよ、O-mitsu。サンとかクンとかチャンはアニメのFun-subですげー浸透してjohn san !とかでも全然通じるけど、O-mitsuは通じねぇだろ。Oが苗字なのかと思って一瞬焦ったよね。

 誰だやねん!wって。

 どうせレイアウトとかデジタル入稿なんだし、そのへんもっと柔軟に対応出来んじゃねーの?と思いますけどね。

 

 

 まぁニュアンスの問題って多分海外のものを日本に持ち込むよりも日本のものを海外に持ち出すときの方が難しいんだろうと思う。神林長平のグッドラック戦闘妖精雪風の英訳読んだときは、「では私もでしょうか、准将」みたいな台詞が「So am i, general」になっててなんかスゲーフランクで笑ったし。

 いやまぁ階級の差こそあれ戦友なわけだし、そもそもヤツらは他人に興味関心がない社会不適合者の集まりな訳でそれはそれでいいのかもしれないけど。考えるところが色々あったよね。

 っていうか、バイリンガルな作家が英語・日本語、その両方で小説書いてるのを読んでみたい。